「どうせ買うなら、長く遊べるほうがお得」
ストアページのボリュームを気にしたこと、ありませんか。 うちも「1時間あたりの単価」なんて指標を出しているので、その発想には近いことをしています。
でも、ふと気になりました。長いゲームって、本当に評価が高いんでしょうか。
レビューが2,000件以上ある572作品で調べました。
見事に、何の関係もなかった
クリア時間と好評率(レビューのうち高評価の割合)の相関係数は -0.081。
相関係数というのは -1 から 1 の間の数字で、0 に近いほど「関係がない」という意味です。 -0.081 は、ほぼ完全に無関係と言っていい数字です。
図にすると、身も蓋もなさがよく分かります。
| クリア時間 | 作品数 | 平均好評率 |
|---|---|---|
| 〜5時間 | 62 | 86.0% |
| 5〜10時間 | 118 | 87.1% |
| 10〜20時間 | 147 | 87.5% |
| 20〜40時間 | 150 | 85.2% |
| 40時間〜 | 95 | 81.6% |
レビュー2,000件以上の572作品。横軸が推定クリア時間、縦軸が Steam の好評率。100時間を超える作品は右端にまとめて表示している。
右上がりでも右下がりでもなく、ただ散らばっているだけです。
3.5時間の Portal と、85時間の RimWorld が同じ高さにいる。 このグラフが言っているのは、要するにそういうことです。
時間帯ごとの平均を出しても、同じ景色でした。
| 区分 | 値(%) | 補足 |
|---|---|---|
| 〜5時間 | 86 | 62作品 |
| 5〜10時間 | 87.1 | 118作品 |
| 10〜20時間 | 87.5 | 147作品 |
| 20〜40時間 | 85.2 | 150作品 |
| 40時間〜 | 81.6 | 95作品 |
同じ572作品を時間帯で分けた。40時間以上だけがやや低いが、差は5ポイント程度にとどまる。
差は5ポイント程度。しかも長いほうがちょっと低い。 「長い=良い」は、少なくともこのデータの中には存在しませんでした。
3時間半で99%を叩き出す作品がある

Portal
3.5時間で好評率99%。掲載作品の中で最高水準の評価。
3時間半です。映画2本ぶん。それで99%。
もちろん、長くて評価の高い作品だってあります。

RimWorld
85.4時間で好評率98%。長くても評価が落ちない例。

バルダーズ・ゲート3
87.5時間で好評率97%。1時間あたりは¥97と、大作としては安い部類。
どっちもある。 それが「相関ゼロ」の中身です。 長さは面白さの目安にならない。それだけの話でした。
ただ、価格のほうには傾向が出た
同じデータで価格と好評率を調べたら、相関係数は -0.327。 ゼロではありません。高い作品ほど好評率がやや低いという傾向が、はっきり出ています。
とはいえ「高いゲームはつまらない」という話ではないはずです。思いつく理由はこのあたり。
- 高い大作は期待値も高いので、期待とのズレが評価に出やすい
- 発売直後の不具合や仕様変更で、低評価がまとめて入ることがある
- 安い作品は「この値段なら十分でしょ」という目で見られやすい
相関があるからといって、原因が分かるわけではありません。 数字が言えるのは「そういう傾向がある」ところまでです。
この数字の限界も書いておきます
好評率には、どうしようもない偏りがあります。
レビューを書くのは、その作品を買った人だけです。 興味がなくて買わなかった人の評価は、どこにも入っていません。
だから好評率は全体的に高めに出ますし、 ジャンルによって「買う人の熱心さ」も違います。 作品どうしを好評率だけで比べるのには、そもそも限界があるということです。
それでも「長さと評価に関係がない」という結論については、 時間帯別に見ても相関で見ても同じ方向を向いているので、 そこそこ信じてよいと思っています。
じゃあ、どう選ぶか
うちの立場は変わりません。 クリア時間は「面白さの指標」じゃなくて「予定を立てるための情報」です。
長さで良し悪しを決める必要はありません。 「いま自分が使える時間」に合うものを見つけるための道具として、使ってもらえたらと思います。
対象はレビュー2,000件以上の572作品。好評率は Steam の公開データ、クリア時間は当サイトの推定値です。算出方法